我が家からその頂が垣間見える「グヌンラヤ山」は、標高787.8mのランカウイ島で一番高い山だ。2010年に一時滞在したときに、車で頂上まで登った。
今回は徒歩による登山だ。
天候は朝から曇りだが、崩れそうにないので午後から出発した。スタートは午後2時。初めてなので頂上までの所要時間と距離は不明だ。
これが、後に災いする・・・・・・。
ペナン島のペナンヒルは、トレッキングコースが整備され、たくさんのトレッカー達でいつも賑わっているが、グヌンラヤ山にトレッキングコースがあるのかは不明だ。なので、舗装道路を登った。
登っているのは私ただ一人。
ローカルや観光客が、バイクや車で私をスイスイ追い越していく。ついでに物珍しそうに私を見ていく。時々手を挙げて挨拶。
こんな舗装道路を延々と登っていく
やっぱり、ランカウイ島では珍しいのかな~?
勾配は緩やかだ。息も上がらない。時々カニクイザルやリーフモンキーが私を驚かす。木から木へ飛び移って、威嚇しているようだ。
あちこちで、道路ののり面が崩落している。直径数メートルの大岩も道路脇に落ちている。危険だな~。大雨の日は、通行しない方が無難だ。
道路脇の草地にふと目を落とすと、黒い物体が動いている。
おお~~!サソリだ。
杖で突いてみたが、毒針のある尻尾で刺そうとはしない。多分体温に反応するのかな?
出発からちょうど2時間が経過した。ふと道路左側を見るとキロポストがあった。麓から7Kmだ。もうそんなに登ったんだ。
ず~~っと、道路の右側を歩いていたのでキロポストに気づかなかった。
キロポスト7.5Km付近にある湧き水。うまかった
出発時、8合目付近に雲がかかっていた。周りに霧が立ちこめてきたのでそろそろ頂上も近いな~と思っていると、雲の切れ間から頂上が顔を出した。
自分の登っている山に頂上があると思っていたが、ここはまだ前山だった。頂上は遙かに遠い。
この頃から、痛風の影響か?腰から下の下半身に何とも言えない痛みを感じるようになってきた。
でも、ここまで来たので頂上まで登りたい。その一心で、ひたすら登った。
頂上到着は午後5時40分。キロポストは13Kmを示していた。
頂上の展望台
頂上手前のキロポスト
日没は午後7時半ころなので1時間50分しか猶予がない。こりゃ~真っ暗闇を下山することになると覚悟した。
下半身の痛みは、耐え難いほどに増してきた。500m下ってはしゃがんでストレッチを繰り返し、また歩く。と言う状態だ。
日没とともに、昼間の虫から夜の虫に鳴き声が変わった。ふか~~い森の中からカスタネットのような鳴き声が至るところから聞こえる。
まるで、宮崎駿アニメの「もののけ姫」に出てくる「こだま」が出す音に似ている。心地よい気もするが、辺りが徐々に暗さを増してくると、アニメの世界にいるような錯覚に襲われる。
5合目手前まで下山したときに、バッサバッサと羽音が聞こえた。見上げるとオオサイチョウが飛んでいる。でかい!羽を広げると2mはありそうだ。
遠くで雷鳴が聞こえる。雲も厚さを増してきた。やばいな~。そろそろ降りそうだ。キロポストはまだ7.5Km付近だ。
このとき思った。子供の乗る三輪車でもいいから「車輪が欲し~~~い!」
麓まで4Km地点まで来たときに、頂上の展望台の職員の車が私を追い越した後、バックして戻ってきた。
「大丈夫か?乗らないか?」と声をかけてくれた。よっぽど乗ろうかと思ったが、ここで乗ってしまっては今までの苦労が水の泡だ。
丁寧にお断りした。
そのころから、雨脚が強くなってきた。辺りは既に真っ暗だが、あちこちに街灯が点灯しているので助かった。
山のどこかで犬が吠えている。いやだな~。こんなところで犬に囲まれるのは・・・・・・。一応、トウガラシスプレーは携帯しているので、いざとなったら噴霧する用意は出来ているが、出来れば使いたくないに決まっている。
それで、走った。下半身は死ぬほど痛かったが、犬に噛みつかれるよりはましだ。
麓到着は午後8時20分。
これで、帰れるとホッとしたのもつかの間。車の側にでかい牛3頭がたむろしている。牛、苦手なんだよな~・・・・。
わざと大きな音を出しながら向かっていくと、車から離れてくれた。ホッ(^_^;)
帰宅してからのビールがうまかった~~。
次回の登山は、今のところ予定にないが、もし、登るとしたら5合目付近まで車で登って、そこから徒歩で登ろうと思う。そのくらいの運動量が適切かな?
今回の登山で嬉しかったのは、サソリやオオサイチョウに出逢えたことに加え、下山中にバイクのおじさんや展望台の職員が私を心配してくれたことだ。
なんだか、ランカウイ島が更に好きになったな~。