マレーシアは、2020年までに先進国入りを目指すため”ビジョン2020”を推進している。これは1991年にマハティール前首相が提唱した経済発展モデルだ。しかし、これについては提唱者自身のマハティール前首相が「2020年までには無理」と、発言している。
先進国入りを果たすためには2011年から2020年まで毎年6.5%の経済成長を遂げなければならないそうだ。マレーシア経済研究所の本年の予想は5.2%、中央銀行バンク・ネガラは4.5~5.5%と予想しているので、もう少し頑張れば6.5%に到達しそうだ。しかし、10年間6.5%成長を維持することは大変なことではないかと思う。
ちなみに、経済成長の著しい中国は2003年~2007年までは10%~11.5%成長を遂げ、リーマンショックの2008年でさえも6.3%だ。これは日本の高度成長期の数字に匹敵する。マレーシアも中国並みに成長を遂げれば先進国入りも夢ではないかも知れない。
ところで、先進国入りと先ほどから書いているが、”先進国の定義”とは?何なのか?結論から申し上げると定義は曖昧だ。と言うか、定義は特にない。
ウィキペディア によると、一般的には先進国とは、高度な工業化を達成し、技術水準ならびに生活水準の高い、経済発展が大きく進んだ国家のことを指す。後進国(現在では開発途上国、発展途上国の呼称が一般的)に対して、先進国と呼ぶほか、先進工業国、富国、高所得国などとも呼ばれることがある。とある。
また、YAHOO百科には、常識的には経済的立場から用いられる。この場合は、1人当りの所得水準、工業化の進展の度合いが定義づけの基準となる。高所得国ではあるが工業化が進んでいない中東の産油国などは先進国には分類されない。経済的発展は、科学・技術、政治・社会制度およびその他の文化的諸側面の発展がその前提とされるため、先進国は、経済のみならず、政治、社会、文化を含めて総合的に判断して比較的進歩している国といえる。
と掲載されていることから、経済発展が重要視されているようだが、その他に生活水準や科学、技術、政治、社会制度が発展していることも条件のようだ。国際社会では、先進国クラブと呼ばれているOECD(経済協力開発機構)加盟国を先進国と呼んでいる。OECDの加盟国には次の3つの目的が課せられる。
- 経済成長
できる限りの経済成長、雇用の増大、生活水準の向上を図ること - 開発
経済発展途上にある諸地域の経済の健全な拡大に寄与すること - 貿易
多目的かつ無差別な世界貿易の拡大に寄与すること。
2の”諸地域の経済の健全な拡大に寄与すること”とは、日本のODAのような施策を指すのだろう。ちなみにマレーシアは1990年(ちと古いデータ)に4億6千8百万ドルを海外から援助されているし、日本は2007年度までにマレーシアに対し円借款9693億円、無償資金協力127億円、技術協力1076億円の資金を提供しているそうだ。と言うことは、マレーシアは未だに資金を受け取る立場の国。これが逆の立場に変わった時が先進国入りを果たしたと言えるのだろう。
マレーシアに住んで5年の私の実感では、この国はまだまだ貧しい。これから更に発展を遂げるのか?このまま停滞するのか?私には分からない・・・・・。でも、更に発展するには、例のブミプトラ政策を廃止しなければならないように思う。
イギリスが宗主国であった頃、中国などのアジア諸国から外国人労働者が奴隷として連れてこられたためマレーシアは他民族化したそうだ。独立後、先住民のマレー人を優遇するためマハティール前首相がブミプトラ政策を施行したが、それが今、仇となったようだ。マハティール前首相の著書の中でも「マレー人は勤勉さが足りない」と嘆いている。
一般的に耳にするのはマレー人は3Kの仕事を嫌うとのこと。建設現場で働いているのも外国人労働者で、しかもこの人たちは勤勉で質が高いそうだ。外国人労働者が増えれば増えるほど国外に金が流れるわけだから、政府も外国人労働者を減らす施策を進めている。しかし、果たしてその代役がマレー人に務まることやら・・・・。
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